概要

本プロジェクトは、地球環境データの情報空間統合に基づく、横断型情報基盤とポータルサイトの構築を目指すものである。

目的

世界中に蓄積されつつある地球環境データを、多くの人々が有効に利用できる形で提供するためには、地球環境データをいろいろな観点から検索しやすいデータベースを構築するとともに、異種データの組み合わせや新たな視点につながるようなデータ操作機能を、データベースを取り囲むように作りこんでいく必要がある。そこで本プロジェクトでは、あらゆる地球環境データを統一的に検索するために、すべてのデータを時間と空間という基本的な情報空間にマッピングするとともに、概念空間などのさらに高度な情報空間にもマッピングする方法を研究する。具体的には、ときに数億年にわたる時間の表現と地球の3次元地理空間の表現、そして異種データベース統合検索やメタデータ、検索のための特徴抽出などが研究課題となる。さらに「情報を見る」ための技術についても、地球環境データを「見て楽しむ」ことができるような情報ブラウザの開発などを目指す。
ただし本プロジェクトの有用性は、情報技術だけではなく、貴重でユニークなデータをどれだけ提供できるかによっても決まる。ゆえに、国立極地研究所を中心に国立情報学研究所や統計数理研究所が保有する地球環境データを、アナログデータについては新たにデジタル化することで、データベースに入力していく方法の開発が、研究のもう一つの柱となる。国立極地研究所が有する、生物圏・宙空圏・地圏・雪氷圏・気水圏などに関する豊富なデータを大規模にデジタル化し、世界中の専門家が利用しやすい形に整備するだけでも、その国際的な意義は大きいものがある。加えて、国立情報学研究所が保有する台風データや、統計数理研究所が保有するDMSP衛星データなどの地球環境データを融合することで、専門家と非専門家の両方を対象とする、地球環境情報の総合的なポータルサイトを実現することを最終的な目標とする。

成果

本プロジェクトは、国立情報学研究所のデータベース技術や画像処理技術を、国立極地研究所の大規模科学観測データと融合することで、単一の研究所では不可能な大規模かつ専門的な情報基盤が実現することが期待できる。また統計数理研究所の信号処理技術や統計解析技術を組み合わせることにより、大量の地球環境データに隠された情報が見えてくることが期待できる。そして研究成果をポータルサイトの形で一般に広く公開することにより、地球環境データを分析したい専門家や、その成果を活かしたい分野外の専門家、さらに高度なデータを題材に学びたい一般の人々などに対する科学的な貢献が期待できる。
技術的にみれば、地球環境データとひとくくりにされるデータの中身も実際には多様なものであり、これを統合して扱うことは挑戦的な課題である。このような大規模なデータ統合は多くの研究機関や会社組織が抱えている普遍的な問題であり、その問題に対するベストプラクティスを示せれば、その波及効果は大きい。

支援

本プロジェクトは、情報・システム研究機構の新領域融合研究センタープロジェクトとして支援を受けている。

神田 啓史 / 宮岡 宏 / 本山 秀明 / 野木 義史 / 佐藤 薫 / 土井 浩一郎
北本 朝展 / 佐藤 真一 / 孟 洋 / 井手 一郎(名古屋大学)
樋口 知之 / 上野 玄太 / 大谷 晋一 (Johns Hopkins大学) / 尾形 良彦 / 村田 泰章 / 種村 正美 / 石黒 真木夫 / 島谷 健一郎

研究発表

ブログ記事

本プロジェクトに関連するブログ記事を以下にまとめた。

Vertical Earth・アーカイブ

Vertical Earthでは、以前のバージョンもウェブ上に残すことで、慣れ親しんだ方にはずっとお使いいただけるようにしました。